少子化や制約社員の増加といった変化に、テレワークによる生産性向上で対応を――。2017年6月13日、ICTの総合展である「Cloud Days 札幌 2017」(札幌コンベンションセンター)でテレワークマネジメントの田澤由利氏が講演し、テレワークの有効性と企業への対応を呼びかけた。

テレワークマネジメントの田澤由利代表
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テレワークマネジメントの田澤由利代表
(写真:浅野久男)

 テレワークは、「ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことで、場所や時間に縛られたこれまでの働き方では無理だった人が働けるようになる効果が期待できる。田澤氏は、テレワークはシステムや制度ではなく、あくまで働き方の一つとしてとらえるべきだという。

 田澤氏は、少子高齢化に伴う労働力不足や、子育て/親の介護が必要でフルタイムで働けない「制約社員」が増加することで、「テレワークできないではなく、せざるを得ない社会になってきた」と対応の必要性を訴える。同氏によれば、テレワークがもたらす効果は数多くあり、企業にとってはコスト削減や生産性向上、人材確保などが、労働者にとっては子育て/介護と仕事の両立、雇用継続、通勤時間削減などが、社会にとっては地方創生、少子化/高齢化対策、社会的弱者の支援などが挙げられる。

 田澤氏は、テレワークで働く労働者は、会社勤めか自営業か、移動先で仕事ができるかできないかの2軸で整理して4つの型に分類できると指摘。営業担当や出張者など外出先で仕事をする社員は「雇用型かつモバイル型」に、SOHOやフリーランスなど場所を選ばず仕事ができる自営業は「自営型かつモバイル型」に、自宅で仕事をする在宅勤務者は「雇用型かつ在宅型」に、自宅で作業をする自営業は「自営型かつ在宅型」に分類されると指摘。国内で働いている人間の8割が雇用されていることから、雇用型のテレワーク対応を進めることが重要だという。

 企業がテレワーク対応を検討する際、「あの仕事しかできない、あの部署でないと難しいといった、現在の業務フローからテレワークに対応できる部分を抜き出す考え方では成功しないケースが多い」(田澤氏)。対応できるのは資料作成や翻訳、データ分析といった業務に限られ、テレワーク希望者が増えても仕事が足りなくなるというのが理由だ。

 田澤氏は、テレワークへの望ましい対応方法として、紙でこなしていた業務のIT化などを進め、これまで会社にあった道具と仕事仲間をクラウド上に置いて毎日の仕事をできるようにすることから始めるべきだと提案する。結果として場所を選ばずに仕事ができる環境が整い、無理なくテレワークに対応できるようになるという。