現地のVR企業も投資家も勢いを欠く。期待が先行して加熱した分、反動による減少も大きい。日本のVR業界は他山の石とすべきだ。

東京ゲームショウの6倍以上の出展者が集まる中国のゲーム展示会「ChinaJoy」
東京ゲームショウの6倍以上の出展者が集まる中国のゲーム展示会「ChinaJoy」
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 2017年7月末、中国最大のゲーム展示会「ChinaJoy」が上海で開催された。来場者は昨年を1万7000人上回る34万人を記録。米国のゲーム見本市「E3」の6万8000人や「東京ゲームショウ2016」の27万人をはるかにしのぐ。

図 中国と米国、日本のゲーム市場
図 中国と米国、日本のゲーム市場
米中で世界の半分を占める
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 中国のゲーム市場の規模自体も巨大だ。ゲーム業界の調査会社である米Newzooの2016年4月の発表によれば、世界のゲーム市場は996億ドル(約11兆円)。国別では中国が最大で244億ドル(約2.7兆円)だ。国内総生産(GDP)で比べれば中国は米国の6割程度だから、中国のゲーム市場がいかに大きいかが分かる。

 ではVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の市場はどうか。本連載でこれまで触れたように、現在のVR市場はゲームが大半を占める。世界最大のゲーム市場である中国のVR市場はさぞかし大きいと思うかもしれない。

 しかし筆者がみるところ、中国のVR市場は2017年に入って急減速している。正確な統計情報を入手していないので何とも言えないが、少なくとも筆者が実際にChinaJoyを見て歩いた印象や関係者への聞き取り、中国人投資家や中国内外の大手IT企業の投資動向をみる限り、中国のVR市場は全体として期待が先行し、実需が追いついていないと言わざるを得ない。伸び悩んでいる理由を考察していくと、日本のVR企業が採るべき道が見えてくる。