「システムの30~40%をクラウドに移行した。東京五輪のある2020年を目標に100%近いシステムをクラウドに移行する」――。近畿日本ツーリストなどを傘下に持つKNT-CTホールディングスで経営戦略統括部 部長を務める小野睦氏は2017年5月31日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン主催の年次イベント「AWS Summit Tokyo 2017」で講演し、オンプレミス(自社所有)環境の業務システムをクラウドに移行したストーリーを語った。

KNT-CTホールディングスで経営戦略統括部 部長を務める小野睦氏
KNT-CTホールディングスで経営戦略統括部 部長を務める小野睦氏
(撮影:渡辺 慎一郎=スタジオキャスパー)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は、2014年5月に海外旅行基幹システムをオンプレミスからAmazon Web Services(AWS)に移行したのを皮切りに、2017年3月までに約20個の業務システムをAWSへと切り替えた。2017年3月時点のEC2インスタンス(仮想マシン)は290台で、オンプレミスのデータセンターとAWSを専用線接続サービスのDirect Connectでつないでいる。

 AWS導入のきっかけは基幹システムの老朽化だが、「旅行業にはクラウドサービスが適している」と、小野氏は強調する。旅行業界では現状、海外からの個人旅行客が急増しているほか、オンライン販売が活況。このため、企画提案力や新サービスの実現スピードの向上が求められている。こうした経営課題を解消するのに、AWSをはじめとするクラウドサービスが役立つという。