SIGFOX、LoRaWANと異なり、携帯電話事業者などが免許を取得してサービスを提供するのがNB-IoTだ。

 NB-IoTはソフトバンクが採用を明言している。「LoRaWANなどISM帯を使う機器と違って、ライセンス帯なので一定以上の品質を保証できる。それがライセンス帯を使うメリット」(技術統括 モバイル技術本部 ネットワーク企画統括部 統括部長の北原 秀文氏)。

 しかしこれまでのLTEでは「1基地局で1000デバイスまでしかさばけない。これだと、2020年に157億台ともいわれるIoTデバイスの接続をまかないきれない。NB-IoTを導入することで、1基地局当たりの接続台数を最大で5万デバイスまで高められる」(同)。

 具体的には、LTEで使う電波の一部を利用する。LTEでは、電波を細かな「リソースブロック」に分割する。このうち通信時には、複数のリソースブロックを電波状況に応じて割り当てて、通信速度を高めて使う。

NB-IoTはLTEのリソースブロックを使う
NB-IoTはLTEのリソースブロックを使う
LTEでは「リソースブロック」という単位で分割して、複数のユーザーのアクセスなどに割り当てる。NB-IoTは基本的に、このうち一つのリソースブロックを使って通信する(a)。専用バンドでの運用も可能。すでにユーブロックスなどから対応モジュールも販売されている。
[画像のクリックで拡大表示]

 NB-IoTでは、一つの通信で一つのリソースブロックしか占有しないので、多数のデバイスからの通信を収容できる。

実証実験を公開

 ソフトバンクは2016年11月にNB-IoTの実験試験局免許を取得し、この試験局を使った実証実験を公開した。実証実験はスマートパーキングがテーマで、利用者がスマートフォンで駐車場の空き状況を調べ、空いている駐車スペースを予約。予約後、利用者が自動車をそのスペースに停車すると、IoTデバイスが自動的に管理サービスに自動車の到着を通知。利用者が用件を済ませて駐車スペースを離れると、IoTデバイスが管理サーバーに通知して課金情報などをまとめる。

ソフトバンクが公開したNB-IoTの実証実験
ソフトバンクが公開したNB-IoTの実証実験
面倒な精算作業が不要なスマートパーキングへの適用を想定した実験を実施した。NBIoTは駐車センサーと管理サーバーの通信に使われている。基本は自動車の出入りを管理サーバーに通知する役目を担う。
[画像のクリックで拡大表示]

 このIoTデバイスとサーバーを結ぶ間の、IoTデバイス側の最後の部分をNB-IoTがつなぐ。ハードウエア構成はシンプルで、基本的に金属センサーと電池、それにNB-IoTモジュールを搭載したIoTを地中に埋め込んでおき、センサーの状態変化をサーバーに通知する。