「成長意欲の高い顧客を優先する」。こう話すのは牧岡宏 執行役員 戦略コンサルティング本部 統括本部長だ。アクセンチュアはITを使って成長しようとする顧客企業を支援する。業務の効率化にとどまらず、本業に貢献する「攻め」のIT投資に応える。

 「秘訣」ともいえるアクセンチュア特有の手法の三つめは、顧客の投資意欲を見極めて成長への先行投資を決断できる企業を狙うことだ。「時価総額を1.5~2倍以上に増やしたい企業の成長を請け負う」(同)。あるOBは「顧客を選んでいる」と証言する。

 アクセンチュアのコンサルタントやアナリストが直接アプローチするのは顧客企業の経営トップ、いわゆる「CxO」だ。CEO(最高経営責任者)に加え、CIO(最高情報責任者)やCMO(最高マーケティング責任者)など。事業拡大の責任を担う役員である。

 高成長企業を狙うのは、アクセンチュア自身の収益も高い成長が見込めるからだ。将来に売上高が2倍になる顧客であれば、アクセンチュアの収益も増える可能性が高い。再委託をしない内製のビジネスモデルだから、余計に取り分が増えやすい。

 顧客が新規ビジネスに乗り出せば、間接部門の事務作業もその分だけ増える。すると事務作業を受託するBPOサービスの受注も増えるなど、コンサルティングから事務までまさに「丸儲け」である。

成長を請け負う分だけ責任も

  アクセンチュアのビジネスモデルは、成長を宿命付けられているといえそうだ。特定のハードやソフトを持たない同社にとって、ビジネスの規模が拡大すると従業員数も増える。「成長請負人」として高成長を目指す顧客を選んで成長の対価を利益として受け取り、自社の成長に投じ続ける必要がある。