アクセンチュアの「秘訣」とも言える、同社特有の手法について見ていこう。二つめは、全社の資源を全世界で徹底的に共有し、横展開していること。ヒトやモノを共有して貸し借りするシェアリングエコノミーになぞらえて「シェアリング開発」といってもよいだろう。

アクセンチュア特有の手法は三つに集約して説明できる
アクセンチュア特有の手法は三つに集約して説明できる
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常に最新に更新され続ける知識のデータベース

 横展開する対象の一つが、過去に手掛けた事例だ。「Knowledge Exchange(ナレッジエクスチェンジ)」と呼ぶデータベースを構築。プロジェクトで使われた顧客への提案書や社内向け報告書を約10万件、クラウド上に保有している。これを利用すれば、目の前の客と同じ業種・業界のグローバルでの先行事例を活用し効果的な提案が可能になる。

ノウハウを蓄積して徹底的に再利用する仕組み
ノウハウを蓄積して徹底的に再利用する仕組み
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 「全世界のプロジェクト案件をいつでもだれでも参照できる」。デジタルコンサルティング本部の立花良範執行役員統括本部長はこう説明する。専任の管理者が常にデータベースを最新の状態に維持しており、古かったり参照されていなかったりする資料は削除され、アーカイブされていく。

 新たにプロジェクトに取り掛かる技術者は必ずナレッジエクスチェンジで資料を検索する。例えば欧州SAPのデータベース「HANA」の導入案件を調べたいと考えた従業員はPCでWebブラウザを使い、社内の情報共有サイトを介してナレッジエクスチェンジを開く。検索窓に「SAP HANA」と入力。すると約3000件のWordや約1400件のExcel形式のデータが検索結果に表示される。