100万人単位の会員基盤を持つ専業プロバイダー(インターネット接続事業者)との連携強化をてこに、IoT(インターネット・オブ・シングズ)分野でスマホに続く新たな収益源の開拓を目指す──。スマートフォン事業を手がけるソニーモバイルコミュニケーションズがソニーネットワークコミュニケーションズ(SNC、旧ソネット)を、家電量販店のノジマが富士通子会社だったニフティを子会社化した主な狙いはこれだ。

 IoTの主要市場の1つは家庭である。テレビや白物家電など多様な機器がつながるからだ。この市場で勝つ鍵を握るのは光回線サービスなど固定系のネット接続サービスを通じて家庭に食い込んできたプロバイダーだ。ニフティはノジマが展開する実店舗での手厚いサポート、ソネットは競合他社より高速なブロードバンドを前面に、家庭のIoT需要の開拓を加速する。

 ノジマが富士通から買収したのはネット接続やMVNOなど一般消費者向けの事業を専業とする新生「ニフティ」だ。ドル箱であるクラウドサービスなどの法人事業は、富士通が新設した子会社「富士通クラウドテクノロジーズ」が継承している。

 多くの競合他社がひしめく消費者向けのサービス。ここでニフティが生き残るため、ノジマは2017年4月1日のニフティ子会社化から早々に秘策を繰り出した。

 2017年4月27日、午前9時。千葉県柏市のショッピングセンター「イオンモール柏」の一角に、ニフティの将来を占うノジマの新店舗がオープンした。「@nifty mobile」の1号店だ。

 来店客には同社の格安スマートフォンや関連サービスを販売。ネット接続やセキュリティ、スーパーのチラシ情報を提供する「シュフモ」やブログサービス「ココログ」など、ニフティが手掛けるスマホ向けサービスも訴求していく。店員が丁寧にサービスを説明できる体制を整え、主婦や高齢者といった様々な初心者の取り込みを図る。

スーパーのチラシ情報を提供する「シュフモ」
スーパーのチラシ情報を提供する「シュフモ」
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