NECがパソコン通信「PC-VAN」やネット接続など通信関連事業を統合する形で1996年に立ち上げた「BIGLOBE」。2006年にNECから分社して専業プロバイダーとしての道を歩み、2014年に投資ファンドの日本産業パートナーズの傘下入りした後、2016年末にKDDIの完全子会社になることが決まった。1986年のPC-VAN開始から30年の節目だった。

 プロバイダー市場の飽和や競争激化、NECの戦略転換とともに流転の歴史をたどったビッグローブ。現在、同社が突破口と見込んで注力しているのがMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスだ。2016年9月末の国内MVNO市場シェア(MM総研調べ)で5位につける。ただ、国内のMVNOは既に600社以上あると言われ、レッドオーシャンと化しているのも事実。この市場でいかに存在感を出し、シェアを高めようとしているのか。ビッグローブのMVNO事業を統括する中野雅昭執行役員常務(左)と吉野宗壱モバイル事業部主任に聞いた。

これまでのMVNO事業の状況は。

中野 「格安スマホ」と言われる国内のMVNOサービスの値下げ競争はそろそろ限界に来ている。こうした事態を見越して当社は、以前から公衆無線LANなど様々な付加サービスを投入し、競合他社との差異化を図ることに努めてきた。

 MVNO市場の裾野の広がりとともに最近人気が高まっているのが、契約したデータ通信量を家族間で分け合って使える「シェアSIM」だ。他社も同様のサービスを提供しているが1回線追加料金が月額200円(税別)と競合に比べて安い。

ビッグローブ執行役員常務の中野雅昭氏(右)とモバイル事業部主任の吉野宗壱氏
ビッグローブ執行役員常務の中野雅昭氏(右)とモバイル事業部主任の吉野宗壱氏
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