ソニーモバイルコミュニケーションズの完全子会社となったソニーネットワークコミュニケーションズ(SNC、旧ソネット)、KDDIが買収したビッグローブ、家電量販店のノジマの傘下に入ったニフティ──。過去10年近くに渡って浮上していた、専業プロバイダー(インターネット接続事業者)“ビッグ3”の再編問題が一段落した。

 この3社はかって固定回線を使うインターネット接続サービスを軸に急成長を遂げたが、近年は通信事業者系プロバイダーとの厳しいシェア競争にさらされてきた。日本のインターネット黎明期を支えてきた立役者が、新たな親会社の下で再スタートを切ることになった曲折の経緯を振り返る。

 消費者や企業にインターネットへ接続するための通信サービスを提供するプロバイダーが、日本に登場したのは1990年代前半のことだ。インターネットイニシアティブ(IIJ)などが先鞭をつけ、ニフティサーブ(現ニフティ)をはじめとするパソコン通信サービス事業者も相次いでネット接続事業に参入した。各社は1995年発売の米マイクロソフトのOS「Windows 95」によるパソコンブームに乗って急成長。一時は2000社以上がひしめき合う一大市場を築いた。富士通系のニフティやNEC系のビッグローブ、ソニー系のSNC(旧ソネット)は、当時のプロバイダーの代表格だ。

 だが、1990年代後半になると強力なライバルが台頭する。NTTコミュニケーションズやKDDIといった大手通信事業者系のプロバイダーだ。

 2001年にはソフトバンクが割安なADSLサービス「Yahoo!BB」を投入し、これを契機にネット接続回線の主流がダイヤルアップ接続からブロードバンドに急速に移行。通信事業者系プロバイダーが躍進し専業プロバイダーの苦戦を招く要因になった。自社が保有するブロードバンド回線とネット接続サービスを組み合わせて販売できる通信事業者系プロバイダーと、その通信事業者から回線を仕入れてネット接続サービスを提供するほかない専業プロバイダー。通信事業者系が有利なのは一目瞭然だ。

表●ネット接続サービス(光回線)の事業者別シェア(2016年9月末時点、MM総研調べ)
順位企業名
1NTTコミュニケーションズ
2ソフトバンク
3ソニーネットワークコミュニケーションズ
4ビッグローブ
5NTTぷらら
6ケイ・オプティコム
7KDDI
8ニフティ