富士通の2017年3月期通期業績は減収増益だった。売上高は前年同期比4.8%減の4兆5096億円、営業利益は同6.8%増の1288億円だ。

 減収要因も増収要因も為替影響が大きい。海外事業の円建て業績が為替変動で落ち込んだが、PCやスマートフォン事業を中心にハードウエアの調達コストが下がって増益となった。

 システムの受託開発を中心とするシステムインテグレーション(SI)事業からクラウドなどのサービス型へ事業内容を変えるための投資「ビジネスモデル変革費用」は447億円だった。

 塚野英博取締役執行役員副社長CFO(最高財務責任者)は「(ビジネスモデル変革費用への)投資により3桁(100億円以上)の増益効果が出ている」と話した。

塚野英博取締役執行役員副社長CFO(最高財務責任者)
塚野英博取締役執行役員副社長CFO(最高財務責任者)
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 富士通の決算についてアナリストに評価を聞いた。2017年3月期の業績、2018年3月期への期待、課題への取り組みの進捗の3項目について、3段階評価をまとめた。

富士通に対するアナリストの評価
富士通に対するアナリストの評価
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 アナリストの富士通への評価は、2018年3月期への期待が高い。2017年3月期に実施した欧州での構造改革の成果がしっかりと現れるとみているからだ。

 一方、課題に対する取り組みの進捗についての評価は芳しくない。中長期的な目標の方向性は評価できるが、競合に勝つためのビジョンが見えないというのが、富士通の課題に対する取り組みへの評価だ。