深刻な人材不足に備えて、国土交通省が推進するi-Construction(アイ・コンストラクション)。ITの活用などで建設現場の生産性を向上させる取り組みだ。「新しい発想や技術は、建設業界だけでは生まれにくい」。旗振り役の石井啓一国土交通大臣はインタビュー後半で、建設関連企業のみならずIT企業やメーカーなどが果たす役割に期待を示した。
i-Construction の2年目となる2017年度の展開は。
初年度に当たる16年度は生産性革命の「元年」でした。2年目の17年度は「前進」の1年と位置付けて、大きく分けて3つの取り組みを進めていきます。
1つ目は、ICT(情報通信技術)を活用する工種の拡大。土工に続いて、舗装と浚渫(しゅんせつ、港湾や河川にたまった土砂などを除去する土木工事)でも、17年3月に新たに整備した技術基準などに基づいて本格的に工事を実施していきます。このほか17年度からは、橋梁の建設事業でICTを全面的に活用する取り組みが試行的に始まります。関係者はこれを「i-Bridge」と呼んでいます。
2つ目は、設計や施工、維持管理の各段階で3次元モデルを活用し、生産を効率化するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入です。合理的な事業実施計画の検討、現場作業の安全性向上の検討などに活用していきたい。さらには、事業費や工期などを自動的に算出するような手法にも期待しています。
産学官民の連携強化が3つ目です。
3つ目の「産学官民の連携」ですが、具体的にはどのように進めますか。
17年1月に「i-Construction推進コンソーシアム」と呼ぶ組織を立ち上げました。参加者は、5月1日時点で合計708者に上ります。今のところ、コンソーシアムのメンバーには建設関連の企業が多いですが、今後は異業種の方々にももっと参加していただきたい。ICTはもとより、ロボットやAI(人工知能)といった技術を扱う事業者や、金融関係の事業者なども。