海外の無線機器メーカーが、自社製品に技適を取得するのはそれほど難しくない。国内の認証機関は届け出制で民間に開放されており、複数の選択肢がある。国際的にも承認証明機関制度や相互承認協定(MRA=Mutual Recognition Agreement)が既に導入されているからだ。
承認証明機関制度は、日本向けの無線機器を取り扱う海外のメーカーに対し、日本以外の機関での審査業務を認める制度である。これにより、例えば「FCC ID」の審査を実施する米国の機関が、同時に技適の審査を実施できるようになった。国内の審査機関が海外の技術認証を実施できるようにするMRAも海外主要国の機関と締結している▼。
これらの制度によって国内外のメーカーはそれぞれ、輸出を想定する国の技術基準の審査を、自国の審査機関で受けられる。メーカーとしては、世界主要国で同型モデルを販売する場合に、国ごとに認証を受けるのは大変手間がかかる。米国や欧州で認証を受けた際に、同時に日本の電波基準も満たすと証明してくれる機関が、海外に存在する意義は大きい。