多重下請構造がはびこるIT業界で、システム開発を手掛ける「下請け」のシステムインテグレーター(SIer)が悲鳴を上げている。発注元の要求は厳しさを増し、過酷な労働環境や低賃金を強いられている。離職率も高く、人手不足は深刻だ。今はまだ案件があるが、状況はまさに“貧乏暇なし”。景気が先細れば、たちまち崩壊しかねない。

 そんな中、一部の下請けSIerの逆襲が始まった。特定の技術分野に強みを発揮し、下請けから元請けに昇格した中堅・中小SIerが現われている。ヘルスケアやテストなど、特定の業種や工程に経営資源を投下してプレゼンスを高め、理不尽に低い人月単価を倍増させるケースも。そうした「下請けの逆襲」を追った。