ヤマハ発動機は、グローバルでOffice 365を利用する大規模ユーザーだ。メールとスケジュールを使用しているユーザー数はグローバルで約3万。そのうち約1万5000が日本のユーザーである。世界中どこでも利用できる点を評価する一方、突然の新ツール提供やサポート終了への対応に追われる。
導入時期 | 2013年7月 |
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利用しているサービスと用途 | ・Exchange Online:メール、スケジュール ・SharePoint Online:社内ポータルなど ・Skype for Business:Web会議、IM、在席確認 ・Yammer:社内SNS ・Office ProPlus:オフィスソフト |
利用人数 | 約3万人 |
良いと感じる点 | ・拠点や関連会社がある中国でも利用可能 ・サーバー運用やセキュリティ対策の手間やコストを省ける ・ツール間の連携が取れている |
悪いと感じる点 | ・新しいツールが次々と、突然公開される ・Officeアプリケーションのライフサイクルポリシーが変更された ・DominoからSharePoint Onlineに移行できないデータがある |
同社がメッセージングとグループウエア用のサーバーである「IBM Domino」(以下、Domino)からOffice 365への移行を始めたのは2013年7月のこと。現在はExchange Onlineだけでなく、YammerやSharePoint Onlineの利用を始めており、Skype for Businessの導入も進行中だ。Web会議とIM(インスタントメッセージ)、在席管理に利用するほか、社内のIP-PBXとも連携させる予定だ。
ヤマハ発動機 企画・財務本部 プロセス・IT部 IT技術戦略グループ IT技術担当 主査の蔦木加代子氏は、「Skype for Businessで連絡を取りたい相手の在席状況を確認して、電話やWeb会議、対面など、コミュニケーション手段をうまく使い分けられるようにしたい」と話す。
「中国でも使える」これが大きい
ヤマハ発動機がOffice 365を評価する最も大きなポイントは、グローバル拠点のどこでも使えることだ。特に中国には関連会社が14あり拠点数も多い。しかし、Office 365選定時に検討したGoogle Appsは、中国で利用できなかった。
各種ツールの連携しやすさも評価している。例えば社員の在席状況は、Skype for BusinessやOutlook 2013、さらにはSharePoint Onlineに文書をアップロードした人の名前の横にも表示される。「何をしていても在席状況が分かるので、コミュニケーションをすぐに始められる。従業員のコミュニケーションのあり方が、かなり変わるだろう」(蔦木氏)。
またIT部門としては、サーバーの運用やセキュリティ対策に関する手間やコストを省けたことも大きなメリットだという。Office 365を利用する前は、オンプレミス環境でDominoサーバーを使っていた地域もあれば、オンプレミス環境でExchange Serverを使う地域もあった。Office 365をグローバルで導入したことで、こうした違いはなくなり、セキュリティ対策のレベルを一律にできたという。
スマートフォンなどモバイル端末からも利用しやすいと評価する。以前Dominoで使っていた「ノーツトラベラー」というiPhone用アプリは、iOSのバージョンアップに対応が追いつかなくなっていた。Office 365では、そうしたことはない。