会議室のリアルタイムの空き状況を、IoT(インターネット・オブ・シングス)の技術を使って見える化するサービスが登場している。複数の社員が部屋を出入りするため、ドアの開閉だけでは本当に部屋を使っているか判別しづらい。人感センサーなどを使い使用中かどうかを判別する。

 会議室は社員の不満が出やすいオフィス設備の代表例だ。スペースを増やすのは容易でなく、慢性的な会議室不足に悩む職場は少なくない。それどころか、この数年で都市部のオフィス賃料が上昇していることもあり、比較的空き時間が多い会議室を減らす動きもある。

意外に多い「カラ予約」

 会議室不足に拍車をかけているのが、予約済みの会議室を使わない“カラ予約”である。「会議室の管理システムなどで予約状況は確認できる。だが、部屋に行ってみたら使われていなかったというケースが意外に多い」と、KDDIビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は指摘する。

 会議のスケジュールが確定する前から会議室を仮押さえしていたが、その後に予定が変わった。会議が予定より早く終わり、会議室の使用時間が余った──こうしたケースでも予約を取り消さない限り、システム上は「使用中」のまま。カラ予約はこうして発生する。

 カラ予約が多発する状況を放置すると、社員は不満を募らせる。他の人より早く会議室を押さえようと社員同士が競い、カラ予約が増えてますます会議室が不足してしまうという悪循環が生じ得る。

会議室のリアルタイムの使用状況を見える化

 会議室不足の問題を解消すべく、IoTの技術を使い会議室のリアルタイムの使用状況を見える化する。通信会社やIT企業はこうしたサービスの実現に挑んでいる。KDDIは2017年1月に販売を開始。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)なども商用化を視野に実証実験を進めている。