ミヤタ自動車の働き方改革プロジェクト。5人のメンバーは議論を重ね、テレワークを導入すべくプランを練っていた。

 とはいえ、いきなり始めたところで、誰もやらないのは目に見えている。ミヤタには、横並びや同調の意識が強い社員が多く、目新しいものに飛びつく柔軟さが足りない。

 まずは改革のムード作りが大切だ。メンバーはとりわけ、働き方改革プロジェクトの認知度向上、つまり、「会社がワークスタイルを変えようとしている」ことを社員にもっと知ってもらうのが大事だと考えた。そこでポスターを作ることにした。

「変わります!ミヤタワークスタイル2.0」

 広報部と連携し、ポスターをオフィスや工場、食堂、リフレッシュルームなど、社内の至る所に貼り出した。会社が本気で働き方改革を進めていることを周知するのが狙いだ。ポスターのデザインは雪菜(人事部 主任)が担当。かわいいイラストを添えてくれた。

 「私、昔からイラストを描くのが好きなんです。学生のころから、Webで絵を描いていたんですよ」

 雪菜は大きな瞳を輝かせる。雪菜が所属する人事部でも、新卒の学生や中途社員を採用するためのWebサイトやポスターを作ることはあった。だがこれまでは全て外注。雪菜が腕を振るう場面はなく、ちょっと寂しかったそうだ。

 ポスターには社長のメッセージを載せた。そこには「働き方改革プロジェクトに協力してほしい」の一言もある。社長メッセージはイントラネットにも掲載する。