IoT(インターネット・オブ・シングズ)やERP(統合基幹業務システム)ソフトの導入により、企業が蓄積するデータは増える一方です。今日は情報システム部門のSEにとって重要な、社内データの有効活用についてお話しします。

 情シスではこれまでも様々な切り口でデータを抽出したり集計したりしていると思いますが、増え続けるデータ量に対してまだ活用する余地が大いに残っているはずです。データを“使いこなす”には分析力が必要なことは言うまでもありません。

 分析力を身に付けるポイントは「データそのものに興味を持つ」のがポイントです。

 例えば、あるプログラムでマトリクス型の集計表を作ったとします。縦の小計の合計値と横の小計の合計値が合致していれば「表を正しく作成できた」、そう満足してはいないでしょうか。データの“入れ物”だけに興味を持ち、表の一つひとつのデータは無関心だったりしないでしょうか。

 それはもったいないことです。データそのものに興味を持つといろいろ面白いことが分かり、有効な集計方法や表現方法も見えてきたりするものですよ。

 在庫数量でマイナスの数値があったらどうでしょう。5年間も荷動きが無い在庫も問題がありそうですよね。1本1万円というキュウリのデータがあったとしたらこれも変ですよね。

 返品が急に増えている。これもビジネス上の問題点が潜んでいるかも知れません。ある地域の売上高が急に増えた、あるいは減った。それを知るだけで今後の営業戦略に役立つ切り口になります。

 生産機械の振動数が変化してきた、稼働データが変化してきた。これらは設備の変化を示しており、アクションを取るべき判断材料です。

 このように、興味を持ちながらデータを見ていると、「あれ?」とか「もしかして」とかような機会に恵まれます。そう思えたならチャンスです。仮説を立て、その切り口でデータを分析してみてください。分析結果から新しい知見が出てきたら、素晴らしい発見といえるでしょう。

 システム部門にいると、会社中の全てのデータが自分の目の前を通っていきます。このデータに興味を持つことで、自分が会社のビジネスに関わっている実感を持て、業務部門とのコミュニケーションにも厚みが出てきます。  今はビッグデータの時代です。様々なデータ分析ソフトがあふれています。ただツールは中身があってはじめて意味を持ちます。様々な現場の実態をミクロなデータで把握・分析できるのは情シスの最大の強みと認識しましょう。