「処理する案件が膨大な仕事があって、他の仕事に手が回らない」。こんなケースに、AI(人工知能)を適用する取り組みが、リクルートグループで進んでいる。
リクルートホールディングスは2015年10月から、人事業務の進化を目指すプロジェクト「HR Tech Ops」を進めている。書類選考など業務管理で、営業支援クラウド「Salesforce」を採用。効率化を図る。
並行してグループ一括で募集しているIT人材の新卒採用業務で、AIを適用する。ここでの課題は、書類選考業務だった。膨大な件数のエントリーシートが就職希望者から寄せられるので、数十人の人事担当者が数日かけて精査する必要があった。
「良い人材を発掘するため、より多くの時間を学生たちとの面接に振り向けたいというニーズが人事担当者から上がっていた」とリクルートホールディングスIT人材統括室ソーシャルエンタープライズ推進室CSR推進部IT人材支援プロジェクトの藤野学氏は話す。
2016年度から、書類選考業務にAIを導入している。就職希望者がエントリーシートなどに書き込んだ内容のうち、「JavaScript」といった、学生時代に取り組んだITなどの単語に着目。分析することで「本選考に進めるかどうか」を判定する予測モデルを、AIで開発した。
予測モデルの開発に当たり、過去10年分の就職希望者からのエントリーシートなどのデータと、人事担当者の評価結果のデータを用意。「どんな単語が書かれていると本選考に進めるのか」を、自動機械学習ソフト「DataRobot」に学習させて、予測モデルを開発した。
これを2016年、書類選考作業に導入。モデルの判定ミスに備えるため、人事担当者が、エントリーシートなどの内容を必ずチェックする手順も組み込んで臨んだところ、95%の精度で正しい評価を出せた。