ヤマト運輸、日産自動車、NTTドコモなど各業界で日本を代表する大手が、自動運転の分野のパートナーに選んだ国内ベンチャー企業がある。携帯電話やスマートフォン向けゲームアプリを主力事業とするディー・エヌ・エー(DeNA)だ。

 物流最大手のヤマト運輸はDeNAと共同で、自動運転車を使った次世代型の宅配便サービスの開発を進めている。両社は、消費者が指定した日時や場所に荷物を配達するオンデマンド型の宅配サービス「ロボネコヤマト」の実証実験を神奈川県藤沢市で実施中だ。

「ロボネコヤマト」による荷物受け取りのイメージ
「ロボネコヤマト」による荷物受け取りのイメージ
(出所:DeNA)
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 実験当初は、有人運転の車両3台でオンデマンド型サービスを運用。2018年中をめどに、一部を自動運転車に切り替える計画だ。「最終的には無人オペレーションを目指していく」。DeNAの中島宏執行役員はこう意気込む。

 日産自動車がDeNAと取り組むのは、無人タクシーの実証実験である。2017年内に国内でテストし、2020年にも無人タクシーを東京で開始する予定という。

 NTTドコモもDeNAと、2016年11月から共同作業を進めている。自動運転車両の遠隔管制で5G(第5世代移動通信方式)を活用する実証実験である。運転手のいない自動運転車両と遠隔地のオペレーターが5Gで通信し、オペレーターはカメラ映像を見ながら車両が安全走行できるように遠隔操作する。

無人運転バスによる実証実験でノウハウ積む

 なぜ大手3社は、ゲームアプリ開発のDeNAと手を組んでいるのか。

 それは、自動運転サービスに関するノウハウを持っているからだ。DeNAは2016年7月、無人運転バスの開発を手掛ける仏イージーマイル(EasyMile)と提携し、無人運転バス「ロボットシャトル」の走行実験を進めている。