自動運転の世界で米エヌビディアが主役になれるかどうか。それを左右するのが、次世代画像処理プロセッサ「Xavier(エグゼビア)」だ。エヌビディアが提供している自動運転プラットフォーム「DRIVE PX」の車載ハードウエアの性能を高めること。これがXavierの役割である。
Xavierの実用化は近い。エヌビディアは、Xavierを搭載した自動運転車「BB8」を開発。BB8の試乗デモを、既にCES 2017で披露している。
エヌビディアはXavierの外販を2018年にも始めるもようだ。それに先立ち、自動車メーカーがXavierを採用することを発表しており、その期待の大きさが伺える。2017年3月にはドイツの自動車部品メーカーであるボッシュが、そして2017年5月にはトヨタ自動車がXavierの採用を明らかにした。
消費電力は現行の8分の1
エヌビディアが現在、自動車メーカーや部品メーカーなどに供給している現行の車載ハードウエアは「DRIVE PX 2」である。DRIVE PX 2の主な構成要素は、スマートフォン向けプロセッサを改良した「Parker」と呼ぶプロセッサ2個と、画像処理プロセッサ2個だ。DRIVE PX 2の性能を示す数字としては、クルマの周囲の物体を検知する深層学習(ディープラーニング)の演算性能が24兆OPS(1秒当たり演算回数)、消費電力が全体で250ワットである。
DRIVE PX 2は、12台の車載カメラの映像を同時に処理できるなど、車載コンピュータとしての処理性能の高さが評価されているようだ。一方、250ワットという消費電力については、省電力が厳しく要求される車載部品としては課題を抱えている。こうした課題を解消すべく、エヌビディアはXavierの開発を急ぐ。