Office 365に切り替えると損する場合がある。例えば、複数のユーザーで共用しているパソコン(PC)に入れてたOfficeスイートのライセンスを、Office 365のライセンスに切り替えたときだ。

ユーザーライセンスとデバイスライセンスの違い
ユーザーライセンスとデバイスライセンスの違い。月額課金のOffice 365はユーザーライセンス、ライセンスを買い切るパッケージやボリュームライセンスのOfficeはデバイスライセンス。
[画像のクリックで拡大表示]

ライセンスの考え方が全然違う

 パッケージやボリュームライセンスで購入するOfficeスイートのライセンスと、Office 365のOfficeスイートのライセンスは、根本的な考え方が異なっている。

 パッケージやボリュームライセンスで購入するOfficeスイートは、1度購入すれば利用権が消滅することはない、いわゆる「買い切りライセンス」だ。買い切りライセンスは、デバイスに対して利用を許諾する「デバイスライセンス」の契約になる。インストールできるデバイスの台数を規定するライセンスで、その範囲内であればPC間で移動しても構わない*1。PCを利用するユーザーは限定しないため、何人でも利用可能だ。

*1 Officeスイートの場合、1ライセンスで任意のPC1台、社外で利用するノートPCなど1台、計2台までインストールできる。2台目のライセンスは「主要ユーザー」が社外で利用するデバイスに対するもので、2台目の共用PCにインストールすると違反になる。

 一方、Office 365のライセンスは、Officeスイートの利用権がユーザーに付く「ユーザーライセンス」である。Officeスイートをパソコン5台で使用する権利がユーザーごとに付く*2が、各パソコンでOfficeスイートを使用できるのはインストールしたユーザーのみ。もし共有PCを5人で使うなら、5個のOffice 365ライセンスが必要だ。

*2 正確には、ハードウエアの種類に制限があるものの、1ユーザーで15台まで使える。WindowsやmacOSなどの一般的なPCに5台、iOSやAndroidなどのスマートフォンに5台、Windowsを除くタブレットに5台までインストールできる。