米グーグル、米マイクロソフト、米IBM、NTT、米ロッキード・マーチン、独フォルクスワーゲン──そうそうたる企業が、新たな計算科学のパラダイム、量子コンピュータの世界に挑んでいる。

 カナダのディーウエーブ(D-Wave)が量子アニーリング装置を商用化して以来、各社の研究開発に火が付いた。グーグルとMSは独自の量子コンピュータの開発を表明、IBMは基礎研究の3つの柱として、人工知能、ブロックチェーンとともに量子コンピュータを挙げている。各社は量子コンピュータをあえて他社に開放し、使ってもらうことで、開発コミュニティを拡大させている。

 IT企業やソフトウエア技術者を量子コンピュータの研究に駆り立てる動機には、未知の領域へのワクワク感、ゾクゾク感がある。今すぐにビジネス上の利益につながらなくても、コンピュータ科学者やソフトウエア技術者が全く無視できない面白さと可能性がある。本特集では、量子コンピュータ開発のキーパーソンへのインタビュー取材を基に、その魅力を明らかにする。