「長い歴史を持っている企業ほど、事業構造の大転換が必要になる時期がある。当社も転換期を迎えていた」。ピツニーボウズのマーク・ローテンバーグCEO(最高経営責任者)はこう話す。

ピツニーボウズのマーク・ローテンバーグ社長兼CEO
ピツニーボウズのマーク・ローテンバーグ社長兼CEO
(写真:村田 和聡)
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 ピツニーボウズが主力事業の転換に踏み切ったのは、売上高の減少が続くためだ。郵便料金計器などの事業は、2013年から2016年にかけて毎年3~7%減っている。同社全体の2016年の売上高は3406億ドル(3712億円)と、2012年に比べて1割以上減った。

IBM出身のCEOがけん引

 ローテンバーグ氏はピツニーボウズのCEOに就任する2012年まで米IBMに27年間勤めた。アジア太平洋地域社長や米本社のGlobal General Managerなどを歴任している。「ピツニーボウズのCEOという役職を打診されたとき、IT企業での経験が生きると考えた」(ローテンバーグCEO)。

 ローテンバーグCEOは2012年の就任時に、クラウドサービスを主体とした会社への転換を決断。事業構造を整理した結果が、新たな四つのサービス事業というわけだ。

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 ローテンバーグ氏の古巣である米IBMもサービス事業の転換をはかっているが、減収が止まらず道半ばだ。IBMの2016年度の売上高は799億1900万ドル(8兆7111億円)。2012年は1045億700万ドル(11兆3912億円)で、5年間で2割以上の減収となっている。

 郵便料金計器などの既存事業に活用するIoT技術を増やしてサービスを拡充させている。例えば機器の遠隔監視サービス「Clarity(クラリティ)」。GEが提供するIoT向けクラウドサービス「Predix(プレディクス)」を使って開発した。