ソフトバンクグループの米携帯電話子会社スプリントの業績が回復した背景には年2000億円規模の全社的なコスト削減の取り組みもあった。
米カンザス州郊外にあるスプリント本社のオフィス。ある時から無料で配られていた菓子や飲料が消えた。夕方の終業時刻を迎えると社員がごみ箱を抱えて捨てに行く姿が見られた。「じゃぶじゃぶだった」(孫正義社長)高コスト体質を見直す取り組みだ。
コスト削減を主導したのはスプリントのマルセロ・クラウレ最高経営責任者(CEO)だ。身長2メートル超の大男だが、見た目の豪快さとは対照的に緻密なコスト削減計画を立て、地道に進めていった。1000以上の削減項目を洗い出し、毎週火曜日に朝から夜まで14時間がかりで達成度を確認していった。
クラウレCEOは会社が持つ様々な資産について、持っていたら便利なのか必要なのかを1件ずつ調べ、必要ではないと判断したものは片っ端から手放していった。
人員削減にも取り組んだ。マーケティング部門は1500人から2016年時点で500人に減り、100人いた広報部門は20人と2割に縮小した。コールセンターや技術部門などを含め聖域なく取り組んだ。