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孫正義の有言実行、米スプリント復活の軌跡

ソフトバンク流のビッグデータ分析で米子会社の通信改善

[第3回]

大和田 尚孝=日経コンピュータ 2017/05/10 日経コンピュータ

 少ない投資で最大の効果を得るには──。ソフトバンクグループから米携帯子会社スプリントに2014年に赴任した専務の宮川潤一氏は通信網を改善するに当たって、日本で培ったビッグデータ分析の技術を活用した。

 米国はダウンタウンや高級住宅街などエリアによって所得格差が大きい。後払い式(ポストペイド)のスマートフォンを契約したのに請求時に料金を支払えない人が多い地域もある。そこで滞納率が低い優良顧客の集まるエリア、つまり収入につながりやすい地域の設備投資を優先していった。

日本で通信品質をビッグデータ分析した例
画像提供:ソフトバンク子会社のagoop
[画像のクリックで拡大表示]

 複数の周波数帯の電波を束ねて通信速度を上げる「キャリアアグリゲーション」のほか「ビームフォーミング」とよぶ新技術も投入した。ビームフォーミングは従来型の基地局ではカバーできないエリアのスマホに電波を「狙い撃ち」で送る技術だ。スウェーデンの通信機器大手エリクソンやフィンランドのノキア、韓国のサムスン電子といった世界の大手と開発した。

一部の都市では通信速度が競合4社中首位に

 電波が遠くまで届きやすい周波数帯と高速通信に向く周波数帯を使い分けるなどの工夫も凝らした。すると2015年夏ごろから通信品質が改善し始めた。外部の調査会社による通信品質の調査結果にも成果が表れた。一部の都市では通信速度が競合4社中首位となった。通信網の改善チームを地域別に編成し、競争させることで全体の品質を高める取り組みの成果でもあった。

 このころ、土曜日や日曜日になると本社近くの食品スーパーには酒を大量に買い込む宮川氏の姿があった。日本からの赴任者が増えたため、宮川氏は会社から車で5分ほどのところにある自宅に泊めて、酒を酌み交わしながら改善策について話し合った。

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