153億ドル(Mobileye)、11億ドル(NeuroDerm)、5億ドル(Plarium)、3.5億ドル(Gigya)、1.68億ドル(Enzymotec)――。 2017年に買収されたイスラエル企業の金額トップ5だ。

 Mobileyeの約1.7兆円は中でも飛び抜けているが、それぞれ大きな買収額である。イスラエル企業が続々と世界で買われていく背景には、スタートアップ企業の多さがある。人口約860万人、土地面積は四国と同じくらいのイスラエルだが、毎年1000社近いスタートアップ企業が設立されている(図1)。2017年後半に、いま勢いのある企業を5社訪問。事業の発想やこれから向かう方向、日本との関連などを尋ねた。

図1●イスラエルにおける新規スタートアップ企業数
図1●イスラエルにおける新規スタートアップ企業数
(出所:IVC Research Center社の調査結果を基に作成)
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 1社目は、Wazeだ。同社は、スマートフォン用のカーナビゲーションアプリを提供する。2013年に米Googleが10億ドル強で買収した。このアプリは、利用者が道路状況やガソリン価格などを入力し、それがリアルタイムに近い早さで他の利用者も共有できる。カーナビとコミュニケーションツールを合わせた感じだ(写真1)。

写真1●Wazeの操作画面
写真1●Wazeの操作画面
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 開発時の発想は、動く車のGPSデータをプロットしていくと地図ができる、といったもの。「道路情報のWikipediaを目指した」(同社 VP Community and Operations Fej Shmuelevitz氏、写真2)。このサービスを全世界各地で立ち上げるには、まずデータを先行入力する協力者が必要だ。Wazeでは編集者と呼び、各地域での編集者のコミュニティ作りが重要な戦略となっている。日本でもすでにサービスが始まってはいるが、「編集者を探しているところ」(同)という。

写真2●Waze VP Community and Operations Fej Shmuelevitz氏
写真2●Waze VP Community and Operations Fej Shmuelevitz氏
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