前回に続いて、2017年3月10日~18日に、米国テキサス州オースティンで開催された「サウス・バイ・サウス・ウェスト(SXSW)2017」をB2Bの視点から報告します。

 今回は、SXSWが得意とする動画(映像)について報告します。SXSWには、「MUSIC」「FILM」「INTERCATIVE」という三つのカテゴリーがあります。マーケティング関連の情報はINTERACTIVEで取り上げられましたが、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)/動画は、FILMとINTERACTIVEの共通のテーマのため多くのセッションやデモがありました。

B2Bの現場でも使われる動画

 B2Bと動画という二つの言葉は、今までは遠い関係だったでしょう。しかしYouTubeで、例えば検索窓に「無線ルーター設置」と入力してみると、メーカーやサービス会社が作成した、実に多くの動画を見つけられます。

 同様に、皆さんが取り引きしている企業名や、取り扱っている製品名をYouTubeの検索窓に入力してみましょう。多くの動画が見つかるのではないでしょうか。

 インターネットが普及し始めたころは、ネットワークの回線速度が遅く、テキスト中心の情報交換でした。しかし、今では回線速度は速くなり、簡単に写真や動画を共有できるようになりました。皆さんの中にも、HTMLは書けないけど写真や動画はインターネットに公開できるという人も多いのではないでしょうか?

 私も、少々難しいマニュアルをインターネットで読むよりも、動画を見た方が分かりやすかったという経験もあります。この経験には、B2BとB2Cに違いはないのではないでしょうか?今回は、動画・映像に関して、SXSWでどのようなことを話題とし、またどのような展示があったのかを紹介します。

B2BでAR/VRが当たり前に

 まずは、AR/VRです。AR(Augmented Reality)とVR(Virtual Reality)は、新しい情報の表現方法、体験方法です。今年のSXSWでは、AR/VRを体験できる常設のデモ会場ができました。

[画像のクリックで拡大表示]

 ホワイトハウスの中を歩き回れる体験や、NASAの火星旅行体験などの、さまざまなコンテンツが体験できました。今年はNHKエンタープライズなどが開発した、ヘッドマウント・ディスプレイを使わないタイプの、「8K:VRライド」も出展しているなど、近年の動画の表現技術やその周辺技術の進化を体験できました。

 セッションでは、ロサンゼルスにカナダのIMAX社による「IMAX VRシアター」が、SXSW開催時点で既に存在しているとの説明がありました。現在ではIMAX VRシアターは、ニューヨークにも登場しています。これ以外にもSXSW2017では、AR/VRを取り巻く産業が、急速に発展していることを確認できました。