外出先で自宅のLANにアクセスしたい。そんな時に便利なのが仮想的なLANを作り出すVPN(Virtual Private Network)です。自動設定ツール「PiVPN」を使うと、600円台からの小型PCボード「Raspberry Pi(ラズパイ)」で、簡単にVPNサーバーを構築できます。

ラズパイをVPNサーバーに仕立てられる「PiVPN」
ラズパイをVPNサーバーに仕立てられる「PiVPN」
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 PiVPNは、対話式でいくつかの質問に答えるだけでVPNサーバーを構築してくれるツールです。VPNにはさまざまな方式がありますが、PiVPNは「OpenVPN」と呼ぶプロトコルを使います。OpenVPNサーバーは、WindowsやMac OS/macOS、LinuxといったPC系のOSはもちろん、iOSやAndroidといったスマートフォンやタブレット向けのOSからも接続可能です。

PiVPNをインストール

 PiVPNの実体は、VPNサーバーを自動で導入してくれる「シェルスクリプト」です。VPNサーバーにしたいラズパイ上で実行します。Linuxのコマンド実行環境(シェル)で動く、簡易プログラム(スクリプト)として提供されています。

 動作環境は、ラズパイの公式OS「Raspbian(ラズビアン)」です。PiVPNプロジェクトではGUIを省いた軽量版の「Raspbian Lite」を推奨しています。GUI有りのRaspbianでも動作に問題はありません。ここではRaspbian Liteの導入手順を紹介します。

 Raspbian Liteをインストールするには、まずRaspbianの配布ページからイメージファイルを入手します。2017年8月2日時点の最新版は「2017-07-05-raspbian-jessie-lite.zip」です。

ラズパイの公式OS「Raspbian」の軽量版である「Raspbian Lite」をダウンロード。Raspbian Liteは標準ではGUIが導入されないため、サーバー用途に向く。
ラズパイの公式OS「Raspbian」の軽量版である「Raspbian Lite」をダウンロード。Raspbian Liteは標準ではGUIが導入されないため、サーバー用途に向く。
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 次に、イメージファイルを展開してmicroSDに書き込みます。

 イメージファイルはZIP形式の圧縮ファイルです。ダブルクリックで展開すると「2017-07-05-raspbian-jessie-lite.img」というイメージファイルが取り出せます。このファイルを「Win32 Disk Imager」などのフリーソフトを使ってmicroSDカードに書き込みます。

Raspbian LiteのイメージファイルをmicroSDに書き込み。
Raspbian LiteのイメージファイルをmicroSDに書き込み。
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