断ったはずの会社から再び営業メールが届いた。読むと前回と同じ内容のよう。「この前、私が断ったのに!」と直井研究員。そのとき平野所長のメガネがキラリと光った。

直井研究員(以下、直井):所長~!またですよ!同じ会社から営業メールが届きました。ついこの間、私が断ったのに。しかも内容がほとんど同じです。初めての営業メールみたいです。前回のメールがなかったかのような。

平野所長(以下、平野):この会社名は覚えているよ。直井さんがメールで断った後に電話がかかってきてね。ちょうど私が出て、断ったばかりだ。

直井:えぇ?!そうだったんですか?今回メールを送ってきた木村さんですか?

平野:いや、違う。確か、女性だったよ。

直井:お名前を見ると木村さんは男性なので、電話をかけてきた人とは違うようですね。

平野:前回、直井さんが断ったのは誰だったかな?

直井:えっと、ちょっと待ってくださいね、調べます……。ありました。松本さんという方です。男性です。

平野:そうか。以前、私がメールで断ったこともあったな。それも違う人だったような。

直井:そういえば、前にもメールが届いたことがありましたね。社内で情報共有ができていないのでしょうか。

平野:そうだろうね。私が電話を受けたとき、すぐに会社名をキーにメールボックスを検索したら、以前、私が断ったメールや直井さんが断ったメールが見付かった。だから、「以前もメールでもお断りしています」と伝えたんだけどね。

直井:もう断るのも面倒ですし、断ってもまた営業がきそうですし、ストレスがたまるだけなので放置してもいいのではないでしょうか。

平野:いや、ここはとどめを刺そう。

直井:え?とどめって、なんだか怖いですね。所長の口からそのような言葉が出るとは。