ビジネスメール研究所の唯一の研究員として、日夜、メールの研究という名の修行に励む直井研究員。所長の座を狙うも、手が届きそうで届かない、本人曰くあと一歩な毎日を送っています。多忙な平野所長に代わってビジネスメールの相談を受けることも増え、クライアントからの信頼も厚い(はず)。メールに悩んだとき、困ったときはビジネスメール研究所にお問い合わせください。直井研究員や平野所長がアドバイスします。新連載第1回の今回は「部長の憂鬱」。今日も直井研究員と一緒に、ビジネスメールを学びましょう!

 メールの業務改善の相談があり、打ち合わせのために製造業A社の人事部を訪問した直井研究員。平野所長の新刊を手にご挨拶。なんだか憂鬱な表情の鈴木部長。どうしたのでしょうか?

直井研究員(以下:直井):このたびはお時間いただきありがとうございます。業務改善についてお悩みがあるとか。

鈴木部長(以下:鈴木):今日は、わざわざありがとうございます。そうなんです。なんだかメールの効率が悪いようで……でも、どこから手をつけていいか分からないんです。(直井研究員から本を受け取って)ありがとうございます。帯に「金曜夕方には重要なメールを送らない」と書いてありますが、送ってはだめなのでしょうか?

直井:気になりますよね。メールを送るタイミングも、仕事を速くするために重要なポイントであり、業務効率を上げるためのポイントでもあるんです。

鈴木:仕事を速くするというのは気になるテーマですね。業務改善という切り口で考えていましたが、仕事を速くするという切り口に変えて考えたほうがいいかもしれませんね。

直井:仕事が速くなりたい方は多い一方で、自分の仕事のやり方について考えたことがなく、指摘や指導も受けず、見直しも改善もせずにいる方も多いと思います。仕事がいつ終わるかで「あの人、仕事が速いなぁ」「仕事が遅いなぁ」と思うことはありますが、仕事の過程はあまり表に見えてきません。一人でこなしている仕事だと、その仕事が速いか遅いかは他の人からは見えにくく、分かりにくかったりもします。

鈴木:そうですね。

直井:誰かと比較して、あるいは比較されてはじめて「私って仕事が速い方なんだ」と気付いたり「え!これって遅いの」と驚いたりするのではないでしょうか。どのような仕事の仕方が速くて、遅いかは共有されにくいように思います。

鈴木:他の人がどうしているのかは、なかなか知る機会がないですね。

直井:そうなんですよ。特にメールは、メールボックスという閉じられた空間の中でのやりとりなので、何をどのようにしているかは分かりにくいです。だからといって、どんな使い方をしていてもいいというわけではなく、仕事である以上、活用できたほうがいいですし、活用できるかどうかが個人の仕事のしかた、組織全体の生産性にもつながっていきますね。

鈴木:私もそうですが、自分のメールの使い方が正しいかどうかを考えたことはありませんでした。