富士フイルムや富士ゼロックスなどを傘下に持つ富士フイルムホールディングスが取り組むのは、社員の健康の見える化だ。社員の健康関連情報を集約する統合データベースを2015年度に導入し、2016年度は連結ベースで約4万3000人が利用。最終的には約4万7000人のデータを取り込む計画だ。

富士フイルムホールディングスが導入した統合データベースの内容と用途
富士フイルムホールディングスが導入した統合データベースの内容と用途
分散していた健康関連のデータを統合し、解析(画像提供:富士フイルムホールディングス)
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 統合データベースには、各社員の勤怠データや定期健康診断の結果、産業医の面談記録、生活習慣病による受診歴の有無といったデータを集約する。集約したデータは、産業医や保健師が社員と面談する際に活用する。

 社員がどのような健康状態かを従来より多角的に確認でき、より適切な指導が可能になったという。社員自身も専用のWebサイトで自分のデータを閲覧可能。過去18年間分の定期健康診断の各検査項目レベルまで、一覧や折れ線グラフで細かく推移を確認できるようにしている。

 富士フイルムグループの健康保険組合は、医療費の増加に伴い2014年度に保険料率の引き上げを余儀なくされた。同社は「社内に分散する社員の健康増進関連のデータを有効活用し、社員の健康への意識・関心を高めることで、将来の医療費増加を抑えたい」(人事部の鈴木宏明マネージャー)と考え、統合データベースを開発したという。

 さらに2016年4月から、集めたデータを匿名化したうえでビッグデータ解析する取り組みを推進。「例えば喫煙の有無や睡眠時間の長短などで社員を2群に分けて健診データを比較すれば、高リスク群の社員と早期に面談して、重症化を予防できる。社員に力を十分に発揮してもらえるし、医療費の抑制にもつながる」。富士フイルム人事部の猪俣英祐統括マネージャーはこう期待を寄せる。