「先月のあなたの成果やパフォーマンスはいかがでしたか? 天気でお答えください」。直近3年間で売上高を約2倍、営業利益を3倍以上に高めるなど、好業績のサイバーエージェント。ソフトと人が全てである同社の成長を下支えするのが、「GEPPO(月報)」「キャリバー」と呼ばれる2種類の社内向けサイトと、適材適所の人材配置戦略だ。

サイバーエージェント 社長室の膽畑(いはた)匡志室長
サイバーエージェント 社長室の膽畑(いはた)匡志室長
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自身のパフォーマンスを、快晴~大雨の5段階で毎月回答

 自社開発したGEPPOは社員向けに毎月実施するWebアンケートシステムだ。冒頭のように、前月の自分の成果を天気になぞらえて、快晴・晴れ・曇り・雨・大雨の5段階で回答する。内容のシンプルさもあり、対象者約2000人の回答率は96%に上る。

社員約2000人に毎月実施しているアンケート「GEPPO(月報)」
社員約2000人に毎月実施しているアンケート「GEPPO(月報)」
(画像提供:サイバーエージェント)
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 「同じ質問を全員に毎月聞くことで、情報が点から線になってくる」。人事部門を率いる社長室の膽畑(いはた)匡志室長はGEPPOの効用をこう話す。例えばずっと晴れだった人が急に雨になったり、部署の1人は晴れなのに周りの人は雨だったりと、ちょっとした変化に気付ける。そうすればすぐに本人に連絡して「何かあった?」と詳しい状況を聞ける。

 GEPPOでは「あなたの強み」「今後やりたいこと」など、月替わりで自由回答の質問も作れる。自由回答は毎月500~1000件ほども届くが、「キャリアエージェント」と呼ばれる人事担当者5人が全て読み込んでいる。「キャリアについて相談したいです」など気になる回答をした社員とは、月150~200人ほどのペースで面談しているし、コメントの中に質問が含まれていれば必ず返事をする。こうして集めた社員の声を異動の参考にしたり、組織や社員の状況として役員会に報告したりする。

 「自由回答により本人の心の機微、いわば『湿度』が分かる。それを基に次々と生まれる新しいサービスに素早く人を割り当てたり、各事業の担当役員に部署の状況を報告したりしやすくなった。現場からも、中途採用の社員などを中心に、『ここまで社員の声を聞いてくれるのはうれしい』といった反響がある」(膽畑室長)。