新聞やテレビ、ニュースサイトなどの媒体に掲載する記事を人工知能(AI)により自動作成するシステム、いわゆる「AI記者」の実用化が国内外で進んでいる。米大手通信社のAP通信など海外で2014年ごろから利用例が出てきたが、ここに来て日本での採用も始まった。
「数字やデータの羅列を平易な文章にして分かりやすく伝える」という人間の記者の仕事を肩代わりして、瞬時かつ大量にこなすのがAI記者の特徴だ。本特集では先行企業の事例から、現時点でAI記者がどれほどの力量を持っているのか明らかにする。今回はNTTデータの取り組みを見ていく。
テレビのアナウンサーが日ごろのニュース番組で読み上げるような、ほとんど違和感のない文章。この原稿は、NTTデータが開発したAI記者が書いている。同社が2016年9月から12月にかけ実施した自動記事生成システムの実証試験の成果だ。
利用しているのは、気象庁が一定のフォーマットで外部機関に提供する気象情報の「気象電文」である。AIは気象電文を読み込み、日本語の文法がほぼ正確な天気予報記事を“執筆”した。
人間の記者が担う定型的な作業の負担を減らせるかどうか検証するのが、システムの狙いだ。「空いた時間を使って、深掘り記事を書いたり取材を増やしたりできるようになる」。NTTデータでITサービス・ペイメント事業本部放送・情報サービス事業部主任を務める山内康裕氏は効果をこう説明する。