この連載では、筆者らが所属するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)のIT部門が、日本で独自にIT戦略を進める「ローカルIT」から全世界のIT戦略に基づく「グローバルIT」へと、どのように舵を切ったかを説明している。第1回ではIT組織、第2回ではプロジェクトの進め方を中心に取り上げた。
今回はBATのビジネスを支えるITインフラのグローバル化について説明する。
サービスデスクをアジア太平洋地域で統合
BATでは、サーバーやネットワークといったITインフラの管理に加えて、日々のインシデント管理、ローカルアプリケーションのサポートなどをITサービスと呼んでいる。システムの安定的な運用を図り、社員がアプリケーションを日々ストレスなく使えるようにするのがITサービスの狙いである。
ここ5年で、当社はITサービスに関するグローバルな統合を進めている。ユーザーからのシステムに関する問い合わせを受け付けるサービスデスクを2012年に統合したほか、サーバーやネットワークの統合などを推進している。ITコスト全体の中で、インフラが占める割合は決して低くない。この状況を改善するのが統合の主な目的だ。
サービスデスクの統合から見ていこう。以前は基本的に各国にサービスデスクを置いており、日本のユーザーからのシステムに関する問い合わせはBATジャパンのサービスデスクで受け付けていた。しかし統合後は、日本を含むアジア太平洋地域からの全ての問い合わせを、マレーシアのサービスデスクが受け付けることになった(図)。
マレーシアのサービスデスク業務は、現地のエージェントに委託している。サービスデスクの統合プロジェクトでは、エージェントの言語能力が当初から懸念点として挙がった。エージェントのスタッフは日本語ネイティブではないからだ。