クラウドサービスは、既に幅広い世代に利用されている。なかでも現在の新入社員は、学生時代からごく当たり前に使っている世代だ。

 会社にクラウドサービスの利用ポリシーがあったとしても、周知や説明をしなければ、新入社員は個人のアカウントでクラウドサービス利用する可能性がある。だがそれは、情報漏洩などかなり高いリスクを伴う。

 今回は、個人アカウントのクラウドサービスを業務で使うことによるリスクを整理し、新人に注意すべきことを考えてみよう。

個人契約のクラウドストレージは、なぜ利用禁止にすべきなのか

 Dropbox、OneDrive、Googleドライブなど、クラウドにファイルを保存しておけるストレージサービスは多数ある。IT管理者がWebサイトへのアクセスやパソコンにインストールできるアプリケーションを一元管理していればよいが、そうした仕組みを導入していない場合は要注意。新入社員が勝手に、個人用アカウントでクラウドストレージを利用してしまう恐れがある。

 なかでもOneDriveは、Windows 8以降、Windows OSの標準機能として組み込まれているので、Windowsユーザーなら既に利用中か、すぐにでも利用を開始できる。多くの企業は、Windows OS搭載のパソコンを業務用PCとして社員に配布する。そのため一元管理をせず注意もしなければ、新入社員が個人用のマイクロソフトアカウントでOneDriveを利用し始めるかもしれない。

 IT管理者は、クラウドストレージの危険性について理解したうえで、新人に使用禁止であることを伝えるか、使用上の注意を与える必要がある。

 ただし、単に「クラウドストレージは使用しないで」と言っても、新人は納得しないかもしれない。「自宅のパソコンやスマートフォンからもファイルを開けるから、仕事がはかどるのに」と考えて、こっそり使ってしまう可能性もある。なぜ個人向けクラウドストレージに仕事用のファイルを保存するのがよくないのかを、説明し納得してもらうことが重要だ。

Windows 8以降でOSに標準搭載されたOneDrive。ただし、これは個人用途を想定したサービスなので、会社のパソコンで業務用ファイルの保存場所として使うのには向かない
Windows 8以降でOSに標準搭載されたOneDrive。ただし、これは個人用途を想定したサービスなので、会社のパソコンで業務用ファイルの保存場所として使うのには向かない
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