ITベンダーA社とユーザー企業のワークショップは回数を重ね、徐々に難しいテーマを扱うようになってきました。A社のサブチームのリーダーの一人である山田さんは、緊張を解くためにユーザー企業のメンバーと雑談を試みますが、いまひとつ場が和みません。緊張感が漂うやり取りが続きます。

 「無理だと言うけれど、もう少し検討する姿勢を見せてほしい」などと厳しいことを言われることも。「お客様のことを思って頑張っているのに」と山田さんは悔しい思いをしています。

 そんななか、同期で別のサブチームのリーダーである有山さんがファシリテーターを務めるワークショップに、山田さんはオブザーバーとして参加しました。ワークショップが始まる前から雰囲気が違います。「有山さんが紹介していたあの本いいよね」「お子さんが元気になってよかったですね」などと、ユーザー企業側のメンバーが有山さんに話しかけ、話題が自然に広がっていくのです。ワークショップの議論も建設的に進み、参加者全員が満足する結論が出て終了しました。

 山田さんは有山さんに声をかけます。「B社の鈴木課長と親しいね。感心したよ」

「ああ、SNSでつながっているんだ」

「SNSが仕事に役立っているのか」。山田さんは目を丸くしました。

 ITエンジニアであれば、いくつかのSNSを利用していることでしょう。ただし「友達とつながってプライベート情報を共有するためのもの」と決めつけてはいませんか。

 SNSは、自分の価値観や人間性などを伝え、ビジネス上のプレゼンスを高める目的にも役立ちます。SNSの活用方針は企業によってさまざまですが、ビジネスでの活用に前向きな企業に所属しているのであれば、ぜひ生かしたいところです。ビジネスのプレゼンスを意識してSNSを活用する際の留意点を挙げてみましょう。

 主なポイントは二つあります。(1)プロフィールと(2)投稿内容です。

 (1)のプロフィールは、自分のキャリアや専門性が分かるものにします。友人リストも公開しましょう。あなたのSNSを参照した人が、共通の知人を見つけやすくなるからです。「あの人の友人なら信頼できる」などと、プレゼンスにもプラスの効果があります。

 友達リストを公開することに抵抗を感じる方がいるかもしれません。しかし、どんな人脈を持つのか、どんな集団に属するのかという情報はビジネスにおいて重要です。ビジネスでの活用を意識するのであれば積極的に公開したほうがよいでしょう。