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清水久三子の提案は誰が言うか

ゼロ・マイナス・プラス、聞く耳を持ってもらう3種類の共感

清水 久三子=オーガナイズ・コンサルティング 2017/08/09 日経SYSTEMS
出典:日経SYSTEMS 2017年8月号p.9
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 「稼働後の改良しやすさを考慮すると、ここはこうすべきです」。

 基本設計のワークショップ。チームリーダーの山田さんは熱い思いで、あるべき姿を解説しました。しかし、顧客であるC社のメンバーの反応は「確かにそうかもしれないけどね…」「正論だろうけどさぁ…」といま一つ。

 「どう考えても正しいのに、どうして受け入れてもらえないんだ? ユーザーは稼働後のことを考えてくれない」と山田さんはがっかりしました。

 すると在田先輩が、「実を言うと、私もこの案はどうかな?と思っていたんですよね」と言い出しました。山田さんは戸惑います。C社のメンバーも驚きます。「え? 在田さんも?」と身を乗り出して聞き始めました。

 「はい。別のプロジェクトのとき、納得できずに違う解決策で進めてしまい、手痛い失敗をしたんです。プロジェクトマネジャーからこっぴどく叱られました。しかし、その失敗から多くのことを学び、今では確信があります。構築時の難易度やコストは多少上がりますが、C社さんと一緒なら、先を見据えたシステム作りを目指したいと思っているんです」

 C社のメンバーはすっかり賛成ムードになり、ワークショップが終了しました。しかし山田さんは自分も同じ案を推したのに…と納得できません。

 プレゼンスの目的は、単に自分をすごそうに見せることではありません。ビジネスでは相手から「この人の言うことは信頼できる。一緒にやってみよう」と共感してもらう必要があります。その時には三つの共感を意識してみましょう。

 一つめは「ゼロの共感」です。これは相手に「自分と同じ立場なんだ」と思ってもらう共感です。

 顧客であるC社のメンバーは、ベンダー側である在田先輩や山田さんに対して「自社にとって都合の良い案を押し付けてくる」と思っています。このままでは、山田さんのように「この案をお勧めします」と正論を主張しても、相手に聞く耳を持ってもらいにくいでしょう。
 そこで在田さんは「実は私も疑問を持っている」と発言しました。「C社さんと同じことを考えていますよ」と共通点を示したわけです。これによって、C社のメンバーに安心してもらっているのです。

隙がない正論は受け入れられない

 二つめは「マイナスの共感」。「この人にも大変なことがあったのか」と人間味を感じてもらう共感です。マイナスの共感は、自分のほうが相手よりも立場が強いときや、相手が権威を感じている場合に特に有効です。

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