「チームメンバーの活動レポートが未提出です」――。
山田さんは管理部門からの督促メールを受け取りました。「先週言っておいたのに、どうして提出しなかったんだ」。内心はムッとしていますが、表情に出すのはこらえます。緊急でミーティングを開き、通知しました。「忙しいのにごめん。レポート、まだ出してもらっていないようだけど…」
すると1人のメンバーが、山田さんの言葉を遮るように話し出しました。
「無理ですよ。先週は不具合が見つかって修正作業が大変だったのは山田さんも知ってるじゃないですか」。
ほかのメンバーもPCのキーボードをたたきながら聞いています。反省はあまり感じられません。
プロジェクト全体の定例会議に出ると、在田先輩のチームメンバーは全員が期限までに提出済みでした。「なめられているのかな…」と山田さんはますます肩身が狭くなりました。
チームメンバーや後輩から軽んじられる、悪く言えばなめられてしまうと、仕事がうまくいかず、ストレスもたまります。リーダーや先輩としてのプレゼンスをしっかり示すことは、組織を円滑に運営するために大切です。
なめられてしまう原因はいくつか考えられますが、特に重要で改善余地も大きいのは、態度や言動に問題があるケースです。以前に解説した通り、プレゼンスは強さと親しみやすさのバランスが重要です。なめられてしまう場合は、強さを相手に認識してもらう必要があります。
意味のない笑顔はNG
まず、自分がどんな態度かを客観的に振り返ってみてください。背中は丸まっていませんか?声は小さくありませんか?セカセカと落ち着きなく動いていませんか?意味もなく笑顔を浮かべていませんか?人前に立つときに隅の方に隠れるようにしていませんか?
これらの態度は相手に「自分より弱い存在である」と認識されがちな動きです。百獣の王であるライオンを見てください。動きはゆったり、ほえ声は大きく、そして常に中心にいます。これを見習い、背筋を伸ばし、ゆったりと落ち着いた動きを保ち、大きく張った声で話すようにしましょう。
次に話し方です。相手を気遣いすぎて「申し訳ないんだけど」「忙しいと思うんだけど」などの前置きを話し出す前に付けすぎていませんか?言いにくいことを言うときに相手から視線を外していませんか?面倒だからとメールだけで連絡していませんか?
仕事で何かを依頼する際に気遣いは必要です。ただし、気を遣いすぎると逆効果になることもあります。特にリーダーとして依頼する場合は、必要以上に前置きをしたり謝ったりすると、「これは自分の仕事ではない」と相手に思われてしまいます。