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林浩一の“謳って踊れる”エンジニア

コンサルのフレームワークに潜む「罠」を見抜け

林 浩一=ピースミール・テクノロジー 2017/10/02 日経SYSTEMS
出典:日経SYSTEMS 2017年9月号p.122
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

 前回はRFP(提案依頼書)のある提案書について紹介した。今回は、構成の自由な“RFPの無い”提案書の話だ。このタイプはポイントを競うのではなく、お互い得意技で一本勝ちを狙う。このとき、戦略コンサルタントの使うフレームワークに要注意だ。

 フレームワークとは、ロジカルシンキングの基本テクニックで、情報を整理するための整った分類のことだ。たかが分類だが、戦略コンサルタントが使うものには仕掛けが施されていることが多い。これに気づかないと足元をすくわれる。筆者がかかわった案件で、この仕掛けを解説しよう。

 この案件の顧客は、商材の供給側と利用側という2種類の顧客を持ち、双方のニーズにマッチする商材を紹介して対価を得るビジネスをしている。供給側に対応する担当者と、利用側に対応する担当者を社内に置き、二者の緊張関係の下で、最適なマッチングを行う。求められたのは、供給側顧客、利用側顧客、供給側担当、利用側担当のそれぞれの活動を円滑に進めるためのシステムの提案だった。

 筆者は提案のとき、顧客資料を読み込んで課題整理のフレームワークを組み立てることから始める。顧客が納得して受け入れてくれる課題の構造が組み立てられれば、そこにはまる施策を当てることで、強力な提案になる。

 多くの顧客は課題の構造を顧客内で明確にできていないので、資料を読み込み課題を分析し、仮説を立てて作ることになる。しかしこの顧客は違った。入手した資料には明快なフレームワークが存在したのだ。供給側顧客、供給側担当、利用側顧客、利用側担当の特徴に基づいた枠組みが図示されていた。これらが四角形の頂点に配置され、それぞれの課題が整理されていた。つまり、コンサルタントによる課題分析がすでに顧客に受け入れられていた。そしてコンペ相手の1社は、そのコンサルティング会社であった。

 顧客内にフレームワークがある場合、それに乗って勝負するのが普通だが、それがコンペ相手が作ったものなら不利になる。自らの施策が効果的になるように構造を作り込めるからだ。

 できるコンサルタントが作ったフレームワークはMECE、つまり一貫した視点でモレなくダブりない構造になっている。筆者らの提案のウリは、商談のステータスを統合的に管理して適宜、4者の各ステークホルダーに提供する機能だった。しかし、上述のフレームワークでまとめると、付け足しの機能にしか見えない。ウリの機能を強く訴求するにはこのフレームワークではだめなのだ。とはいえ、別のフレームワークを作ってぶつけても受け入れてもらえる可能性は低い。

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