安定したITインフラを提供するために、技術者の「現場力」が求められている。ITインフラ技術者がどのように現場力を磨いてきたのか、その生の声を聞く。今回登場するITインフラエンジニアは、富士通の岡田 孝博さん。ネットワークインテグレーションの後方支援を担う。
担当している業務内容を教えてください。
富士通のネットワーク部門に所属しています。富士通やパートナー企業(協力会社など)が受注した、顧客のネットワークインテグレートの業務を、後方から支援する業務をしています。業務を受注した富士通やパートナー企業が実際にネットワークやシステムを構築しますが、私たちはそれに対し、技術的な知識や注意事項、使用する機器の検証結果を基にしたアドバイスをしたり、必要なドキュメントを整理して提供したりします。
私はそのなかでも、レイヤー2およびレイヤー3の機器をメインに扱う担当です。その他のレイヤーの機器に関しては、ほかの担当者がいます。部門全体の人員で、ネットワーク機器の様々な分野をカバーできるようになっています。
これまでに行ってきた、ネットワーク技術を覚えるための勉強法について教えてください。
学生のときは半導体技術を学んでいたので、ネットワークについての専門的な知識はありませんでした。新卒で入社した後は、半年間程度の研修がありました。でも、その研修では、ネットワーク技術についてはあまり取り上げられませんでした。社会人としての常識や、プログラミングについてが中心でした。
正式に配属された部署で、ネットワークについての勉強をしました。部署の先輩が、業務の合間にいろいろ教えてくれました。先輩方はそれぞれ専門分野に詳しく、入れ替わり立ち替わりで教えてくれました。教材に使っていたのは、市販されている技術書でした。通信プロトコルについて学んだのもそのときです。
米シスコシステムズのネットワーク機器を扱うことが多い部署なので、大量にシスコの機材がありました。ですので、実機を使った勉強もやりやすかったです。理論的なことは先輩に教わって、実機を使った学習もできる――恵まれた環境でしたね。ネットワーク機器の機能について、1つ1つ自分で設定して検証する、といった学習もできました。機能の検証では、実際にその機能が動くかどうかだけでなく、パケットをキャプチャーして、「この機能を動かすときは、その機能のためのパケットが送信されている」といったことを検証していました。
座学を最初に行って、その後に実機で学んでいく──というやり方だったんですね。
本当に恵まれた環境ですよね(笑)。理論を学んでそれから実機で検証するという段取りを踏んでいるから、理解が深まりました。