シリコンバレーではもはや、自動運転車が日常の風景に溶け込んでいる。米グーグルの本社があるカリフォルニア州マウンテンビューを走る大通り「エル・カミノ・リアル」に行けば、2016年12月にグーグルから独立した米ウェイモ(Waymo)の自動運転車を必ず目撃できる。

 実際に2017年1月のある日の夕方、エル・カミノ・リアルの交差点でウェイモの自動運転車を待ち構えてみたが、わずか10分ほどの間に記者の目の前を5台の自動運転車が通り過ぎた(写真1)。

写真1●米ウェイモの自動運転車
写真1●米ウェイモの自動運転車
シリコンバレーのメインストリート「エル・カミノ・リアル」では、10分間に4~5台の自動運転車を見かける。(写真:中田 敦)
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 ウェイモは自動運転が容易な高速道路だけでなく、交差点や横断歩道がある一般道でも自動走行を実験している。見通しの良い晴れた昼間だけはない。雨の降る真夜中でも、ウェイモの自動運転車は走っている。

 ウェイモがカリフォルニア州交通当局に提出したレポートによれば、同社はカリフォルニア州の公道で60台の自動運転車をテストしており、2016年に同州で実施した公道での自動走行の距離は、63万5868マイル(約102万キロメートル)にも達した。同州では数多くの自動車メーカーが公道での自動走行をテストしているが、ウェイモの走行距離は他社を圧倒する(表1)。

表1●各社がカリフォルニア州で実施した自動運転テスト走行距離(マイル)
表1●各社がカリフォルニア州で実施した自動運転テスト走行距離(マイル)
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 ウェイモの自動運転車は、自動運転AI(人工知能)が判断に迷った場合に、人(ドライバー)に運転を引き継ぐ。ただしそのような「人への引き継ぎ」は、63万5868マイル走った間に124回しか発生しなかった。つまりウェイモのAIは、5000マイル(約8000キロメートル)につき1回しか判断を迷わない。この頻度は2015年には1200マイル(約2000キロメートル)につき1回だった。この1年間でAIの性能が大幅に向上したことが分かる。