「Amazon Dash Button(アマゾン ダッシュ ボタン)」をご存じだろうか。アマゾンジャパンが2016年12月5日に日本国内で提供開始した、ボタンを押すだけで日用品を注文できる小型端末だ。発売時点で、清涼飲料水や洗剤といった41種類の日用品ブランドのメーカーと提携した。

 ボタンを押すと起動して、利用者の家にある無線LANに接続。Amazon.co.jpで商品を注文する。EC(電子商取引)サイトで商品を選ぶ手間が無くなるというわけだ。

アマゾン ダッシュ ボタン。発売開始時点で41種類のブランド、合計700種類の商品に対応する
アマゾン ダッシュ ボタン。発売開始時点で41種類のブランド、合計700種類の商品に対応する
撮影:渡辺慎一郎
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 このボタンの進化版として米アマゾン・ドット・コムが米国内で提供しているのが「AWS IoT ボタン」である。ボタンを押すだけで、米Amazon Web Services(AWS)のIoTプラットフォーム「AWS IoT」とつながる。ダッシュボタンの商品注文機能の代わりに、日常で使えるような様々な機能を開発、搭載できる。

 パブリッククラウド事業者はクラウドサービスとして、IoTプラットフォームを提供している。代表的なものがクラウド最大手であるAWSのAWS IoTや、日本マイクロソフトの「Azure IoT」だ。

 いずれのクラウドサービスも、IoT端末からのデータ収集・蓄積、分析機能などを提供する。通信機能を搭載した端末にソフトウエア開発キット(SDK)を組み込むなどして、IoTプラットフォームに接続できる。

 しかし、ボタンを押すだけでIoTプラットフォームの機能を呼び出せる製品は、他に例を見ない。AWS IoT ボタンを提供する米アマゾン・ドット・コムの狙いは何か、見ていく。