「IoTプラットフォーム」と聞いて、読者の方は何を想定するだろうか。センサーを搭載する制御機器などのハードウエアや、大量のデータを分析するソフトウエアだろうか。データを収集、蓄積する機能を提供するクラウドサービスを思い浮かべるかもしれない。

 IoTプラットフォームは、これら全てが該当する、というのが答えになりそうだ。IoTの活用を想定したシステムを開発するソフトウエアや、デバイスの制御機器といったハードウエア、クラウドサービスなどの製品群を指すためである。IoTプラットフォームのベンダーは、これらの製品群をシステム開発の提供基盤として体系化し、ユーザーに提供する。そのためのIoTシステムの提供基盤として「IoTプラットフォーム」と呼んでいる。

 代表的なものが、クラウド最大手Amazon Web Services(AWS)の「AWS IoT」や日本マイクロソフトが提供する「Azure IoT」がある。工場向けに特化した製品では、ファナックの「FIELD system」が200社以上のパートナー企業を集めており、特定の用途の範囲内では大きなシェアを獲得している。

 ただ、一概に比較できる製品は少ない。IoTの活用シーンや提供するベンダーが狙う市場にによって、それぞれの製品の特徴は異なる。機能や性能を比較するのではなく、利用シーンを想定して特徴を分類する必要がある。

 例えば、AWS IoTは、センサー搭載の端末管理や、データ収集、分析などが可能になるが、基本的にはクラウドサービスである。一方で、ファナックのFIELD systemは、リアルタイムな工作機械の制御を可能にするため、エッジの利用を中心に想定している。

 これまではソフトウエア販売やクラウドサービスの提供を本業としていなかった企業が、IoTを使ったプラットフォームを提供するケースもある。例えば、東京電力フュエル&パワーが開発を計画するIoTプラットフォームは、火力発電所を運営する企業向けだ。発電所の運営に特化しているというわけだ。

 IoTの活用事例や技術開発が加速しているのに合わせて、IoTプラットフォームと呼ばれるソリューションや製品が増えてきた。本特集では、主要なIoTプラットフォーム製品の特徴や、想定している利用方法について、見ていく。第1回は、米GEのPredixを取り上げる。