2020年の東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)に向け、競技や会場運営を支えるシステムの構築プロジェクトが始まっている。プロジェクトを率いるのはフランスに本社を置くITベンダーのAtos(アトス)だ。
Atosは2002年にソルトレークシティで開催された冬季大会から、オリンピック向けのシステム構築を手掛けている。IOC(国際オリンピック委員会)と「トップ(The Olympic Partner)」と言われる最上位のスポンサー契約を「IT」カテゴリーで結んでいる。
東京五輪のIT分野ではAtosのほかに、NTTグループ5社(NTT持ち株会社、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ)やNEC、富士通などの国内ITベンダーが東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委員会)とスポンサー契約を結ぶ。
Atosはこれら日本のITベンダーを束ね、2020年の東京五輪に向けたシステム構築を進めている最中だ(東京五輪のスポンサー契約とプロジェクトの組織体制については文末の別掲記事を参照)。
2020年の東京五輪まであと3年と迫った今、プロジェクトはどのような状況にあるのか。Atosで東京五輪向けのプロジェクトを率いるセイレッシュ・チョーハン氏に東京五輪向けのシステム構築プロジェクトの全貌と現状を聞いた。
2020年の東京五輪向けのシステム構築プロジェクトは現在、どのような状況にあるのでしょうか。
2016年第4四半期から2017年第4四半期まで、設計段階でシステムのアーキテクチャーを決めています。基本的にオリンピックのシステムは、過去の大会で利用したアプリケーションをベースに開発しますが、東京五輪で新たに必要になるビジネス要件を抽出し、その分析をしているところです。
もう一つは過去の大会で利用したシステムが、新たなビジネス機能を提供できるかどうかを分析しています。既存のシステムには十分な機能がありますが、新しい要求に対応できるかどうかを検討しています。