高い難度の技が次々と繰り出される体操競技。床やあん馬、鉄棒など、多くの回転のある演技を、目視で瞬時に確認して採点するのは難しくなっている。一方で選手の体にマーカーなどの動きを捉える装置を付ければ演技の妨げになる。選手に負担をかけずに、正確に採点するためにはどうすればいいか。

 富士通は2020年に向けて、こうした問題を解決するためのシステム開発に取り組んでいる。2016年5月に日本体操協会と体操競技向けの採点支援技術の共同研究を行うと発表。3Dレーザーセンサーを利用して選手の動きを捉え、骨格などから技を認識する方法で採点システムを実現する計画だ。

図●3Dセンサーを使った体操競技の採点システムのイメージ
図●3Dセンサーを使った体操競技の採点システムのイメージ
(画像提供:富士通)
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 現在、開発中の技術だが、2020年に開催される東京オリンピック(五輪)・パラリンピックや、そのプレ大会などでの採用を目指す。「東京五輪・パラリンピックやプレ大会は世界中が注目する国際大会。そこで採用されることで、世界に当社の技術を発信できる」。富士通 東京オリンピック・パラリンピック推進本部 システム・サービス企画統括部 統括部長の田中義孝氏はこう強調する。

複数のPoCを実施中

 富士通は2015年2月に東京五輪・パラリンピックのゴールドスポンサーとなった。契約カテゴリーは、サーバーやストレージなどのインフラを提供する「データセンター」だ。

 2015年4月に推進組織を発足。スポーツや文化、イベント関連の事業を推進する部署と一体になって2020年に向けたサービスや技術の開発を進めている。スポーツや文化、イベント関連事業の推進組織と合わせて100人程度が2020年に向けたサービスや技術の開発などに取り組んでいる。

 「東京五輪・パラリンピックの開催期間は約1カ月と限られている。ショーケースとして世界中が注目する効果はあるが、ビジネスとして考えた場合、その先も含めたスポーツ関連のソリューションを開発している」と田中氏は話す。「2020年を見据え現在、スポーツなどを中心に複数のプロジェクトのPoC(Proof of Concept)を実施しているが段階」(田中氏)という。