2020年の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開催まであと3年だ。競技会場の決定や会場の建設など、準備が進みつつある状況が日々報道されている。さらに2017年3月6日には東京都が、東京五輪・パラリンピックの経済効果は32兆円になるとの試算を発表。この結果は招致の決まった2013年から、東京五輪開催10年後の2030年までの17年間の全国の経済効果を計算したものだが、東京五輪が大きな市場なのは間違いない。

 大きな市場を狙い、ITベンダーも動き出している。「情報システムの観点では2018年度がピークになる」。NECで東京オリンピック・パラリンピック推進本部長の鈴木浩氏はこう話す。NECは2015年2月に東京五輪・パラリンピックのゴールドパートナーとなった。オリンピックのパートナーは1カテゴリー1社が原則で、NECは「パブリックセーフティ先進製品」と「ネットワーク製品」の分野でパートナー契約を結んでいる。

 NECは2015年4月に東京オリンピック・パラリンピック推進本部を設立し、東京五輪・パラリンピック向け、画像認識など自社の得意分野の技術を活用し、様々なプロジェクトを進めている。鈴木氏は、「ITの場合、2020年にぶっつけ本番で動かすという訳にはいかない。テスト期間などを考慮すると2017年後半から動きが加速するとみている」と話す。

 同じくゴールドパートナーになっているNTTも東京五輪・パラリンピックの向け、全国各地で実証実験などを展開中だ。NTTは移動体、無線、固定を含む「通信サービス」のカテゴリーでパートナー契約を締結。NTT持ち株会社、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモの5社がスポンサー契約に含まれている。

 NTTは2020年に向けて、街づくりやスポーツ観戦のIT化の支援など、複数のプロジェクトを推進している。「オリンピックを念頭に置きながら、スタジアム、街など全体的な観点から、当社の持つ技術やサービスが活用できないか考えている」とNTT 新ビジネス推進室 2020渉外担当 統括部長の齋藤渉氏は話す。

 富士通も東京五輪・パラリンピックのゴールドパートナーの1社だ。NEC、NTTと同様に東京五輪・パラリンピックの推進組織を設立し、2020年に向けてスポーツ分野を中心に新たな技術やサービスの開発を進めている。「2020年の大会は世界中から多くの注目が集まる。ショーケースとして新しい技術を提供すると同時に、大会後にも残る技術やサービスの開発を進めていきたい」と富士通 東京オリンピック・パラリンピック推進本部 システム・サービス企画統括部 統括部長の田中義孝氏は強調する。