IT活用で物流作業を効率化し、人手不足を乗り越えるエフピコ物流(広島県福山市)は、食品容器トレー生産大手エフピコの物流子会社。同社はグループの物流業務を支えるITインフラが評価され、2年連続で、経済産業省などが選出する「攻めのIT経営銘柄」となった。同社は、配送業務の現場でも、現在の人員を維持したまま、効率を高める施策を打ち出した。2014年4月から全国8カ所の物流拠点に導入した2つのシステムがそれだ。配送状況をリアルタイムでモニタリングする「RD(リアルタイムデリバリー)チェックシステム」と配車・配送ルートを計画する「ルートプランナー」である。

問い合わせの“リレー”を撤廃

 配送業務で最も煩雑だったのは、顧客から問い合わせが多い「到着予定時刻」の回答だった。以前は配送状況をモニタリングする仕組みがなかったため、問い合わせを受けたエフピコの営業担当者がまずエフピコ物流の担当者に確認。さらにエフピコ物流の担当者が運送会社の担当者に問い合わせ、運送会社の担当者はトラックのドライバーに電話して、現在の配送状況を確認していた。まさに問い合わせの“リレー”だ。

 こうして配送状況を確認できても、今度は顧客に回答するまで、逆のルートでまた電話リレーが続く。リレーが続いていて回答がエフピコの営業担当者まで戻ってこないうちに、トラックが先に顧客の所に到着してしまうこともあった。

 この状況を解決するために導入したのがRDチェックシステムだ。ドライバーが携帯電話やスマートフォンのカメラ機能を使い、配送日報に印刷された2次元バーコードをスキャンする(図2)。正常にスキャンできるとウェブブラウザーが起動し、インターネット経由でRDチェックシステムに接続する。画面に表示された「はい」のボタンを押すと、現在の時刻がシステムに自動登録される仕組みだ。

図2●配送状況確認システム「RDチェックシステム」の概要
配送ルートと到着予定時刻を記載した「配送日報
図2●配送状況確認システム「RDチェックシステム」の概要
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2 次元バーコードをスマホでスキャン
2 次元バーコードをスマホでスキャン
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