エフピコ物流(広島県福山市)は食品容器トレー生産大手エフピコの物流子会社。グループの物流業務を支えるITインフラが評価され、2年連続で、経済産業省などが選出する「攻めのIT経営銘柄」となった。同社では約1000人のパートやアルバイトの従業員が勤務しており、そのほとんどがピッキング作業の現場で働いている。人手不足でパートやアルバイトが集まりにくいという悩みは同社も同じだ。

 そこでエフピコ物流は食品容器トレーなどのピッキング作業の効率を高めるため、2014年11月に「音声ピッキングシステム」を導入した。「10人で実施しているピッキング作業を7人でこなせるようにする」(小泉哲代表取締役社長)ことを狙った。

 現場の作業員は「レシーバー」と呼ぶ端末を腰に装着し、頭には「ヘッドセット」と呼ぶヘッドフォンとマイクが一体となった端末を被って作業する(写真1)。どの棚まで移動し、どの商品を何個ピッキングするかは、全てヘッドセットから流れてくる音声が指示する(図1)。

写真1●作業員が頭と腰に装着する音声ピッキングシステムの端末
写真1●作業員が頭と腰に装着する音声ピッキングシステムの端末
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図1●「音声ピッキングシステム」を使った作業の流れ
図1●「音声ピッキングシステム」を使った作業の流れ
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 作業を開始すると最初にヘッドセットから流れてくるのは、ピッキング対象商品を保管した棚のロケーションを表す「行番号」と、商品名を表す「4桁コード」の2つだ。作業員は聞き取った行番号を手がかりに保管場所まで移動し、さらに4桁コードを頼りに該当する商品を探す。

 商品が見つかったら、外装に貼り付けてある製品ラベルを参照し、「JANコード」の下2桁を声に出して読み上げる。システムはJANコードと4桁コードをひも付けて管理しているため、JANコードの下2桁を照合することで、指示した商品が正しくピッキングされているかどうかを確認している。

 JANコードの下2桁が合っていれば、ヘッドセットからピッキング個数の指示が流れてくる。作業員は指示された個数を手に取った後、確認のため、実際に手に取った個数を読み上げる。「はい」と言えば、該当するピッキング指示が完了となり、次のピッキング指示がヘッドセットからまた流れてくる仕掛けだ。