「金融クラウドとフィンテック(FinTech)はここ1年、猛烈な勢いで進展している」

 元アマゾン ウェブ サービス ジャパンのエンタープライズ エバンジェリストで、現在は一般社団法人クラウド利用促進機構 運営委員、スカイアーチネットワークス顧問、一般社団法人Fintech協会会員の渥美俊英氏は、日本におけるFinTechの動きをこう語る。2017年3月11日に開催されたAWS最大のユーザーグループによる年次イベント「JAWS DAYS 2017」で、同氏は「金融クラウド&FINTECH最前線。~AWSで金融からイノベーション! 2017」をテーマに登壇した。

元アマゾン ウェブ サービス ジャパンのエンタープライズ エバンジェリスト、渥美俊英氏
元アマゾン ウェブ サービス ジャパンのエンタープライズ エバンジェリスト、渥美俊英氏
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 渥美氏が最初に紹介したのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が社内システムをAWS上に移行させていくという2017年1月のニュースだ。渥美氏は「国内メガバンクがパブリッククラウドへの本格的なシステム移行を宣言した」と評する。

 MUFGはAWSの採用により、5年間で100億円規模のコスト削減を狙う。同時にシステム構築の期間短縮により、FinTech分野などで迅速なシステム開発を実現するとしている。渥美氏はFinTechの動向について、「リーマンショックや格差拡大、Unbanked(銀行口座を持てない人)など、既存の金融機関への不信が高まる一方で、スタートアップ企業が新しいテクノロジーを急速に展開している」と説明した。

海外の動向を見て対応急ぐ金融庁

 渥美氏は米国のベンチャー企業に関する情報を提供する、米ベンチャースキャナーの調査データを紹介。2016年にはFinTech関連企業は2000社を超え、ベンチャーキャピタルの出資総額は63億ドルに達するという。特に2014年以降、FinTech関連の投資が急増している。同氏は「海外の新興FinTech企業は人材、資金のいずれも急拡大しており、既存の金融機関を脅かしているほどだ」と話す。

海外では2014年以降、FinTech関連の投資が急拡大している
海外では2014年以降、FinTech関連の投資が急拡大している
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