企業情報システムの基盤として、採用が広がり続けるパブリッククラウド。それに伴って勢いを増すのが、クラウド活用力の高い新興ITベンダーだ。オンプレミス(自社所有)環境とは異なるノウハウやスキルを強みに、クラウド活用に挑む企業のシステム構築・運用を支えている。

 こうした職場に魅力を感じ、従来型のITベンダーから身を転じるエンジニアもいる。その一人が、アイレット cloudpack事業部の北條慎一サポートエンジニアだ。

アイレット cloudpack事業部の北條慎一サポートエンジニア(左)と、執行役員の後藤和貴エバンジェリスト
アイレット cloudpack事業部の北條慎一サポートエンジニア(左)と、執行役員の後藤和貴エバンジェリスト
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 前職では、主にオンプレミス環境でのインフラ構築を手掛けていた。多くは、大手ITベンダーからの下請けの業務。仕事に不満はなかったが、同時にきゅうくつさも感じていた。北條氏が手を動かす際には、既にシステム要件ががっちりと固まっていたからだ。「顧客企業にとっては別の構成の方が良いのではないかと思っても、自分の意見を反映できる状況ではない。下請けなので顧客との距離が遠く、システムを使っている人の顔も見えにくかった」(北條氏)。

 IT業界に入る前は、大学院で化学系の研究に携わっていた北條氏。研究を進めるために、苦労しながらコンピュータをユーザーとして使い込む経験を重ねていた。だから、ITベンダーの社員になってもユーザー視点が身体に染みついていた。もっと、直接ユーザーのためになる仕事がしたい。そんな思いから、漠然と転職を考え始めた。

 「風のうわさで聞いたけど、転職するんだって? だったらうちに来ないか」。常駐先で一緒に仕事をした仲間など、複数のエンジニアから声がかかった。だが、そのまま誘いに乗るのは抵抗があった。「転職する際は、自分のスペックを第三者の目で冷静に評価してほしかった。縁故で入社すると、成長できないんじゃないかという思いがあった」(北條氏)からだ。

 そんな中で出合ったのがアイレット。同社を知った直接のきっかけは知人が働いていたからだったが、一般の中途採用面接を受けた。面接官を務めた部門長と大いにフィーリングが合い、トントン拍子で採用が決定した。